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イオンプレーティングとは

イオンプレーティングとは

イオンプレーティングは、1950年代に宇宙開発技術の一環としてアメリカNASAで開発された技術で、切削工具や金型の耐久性を向上させる技術として世界中に広まりました。
真空中で金属を熱やプラズマのエネルギーで気化させ、それに反応性ガスと組み合わせてセラミック化させ、被加工物に照射していくという技術です。従来の湿式メッキに比べ密着性、磨耗耐久性に優れています。

PVD法(Physical Vapor Deposition:物理的気相成長法)の一種で、当社ではアークイオンプレーティング、UBMスパッタリングを採用しております。

イオンプレーティングの特徴

1. 優れた耐久性

反応性ガスとの結合により、硬質セラミック薄膜を形成できるため、磨耗耐久性は湿式メッキに比べて非常に高く、製品の寿命を向上させる効果があります。

2. 高い密着性

成膜金属原子は放電によりイオン化され、運動エネルギーの高いプラズマ中で加速されて被加工物に衝突するので、密着性の高い薄膜を形成します。

3. 人に優しい金属

当社のイオンプレーティング被膜は、金属アレルギーの心配の無いチタンを主に使用しています。チタンは生体適合性に優れ金属アレルギーの心配もないので、眼鏡フレーム、人体各部の骨の補修、義歯(インプラント)用ネジ、手術用具などに使用されています。

アークイオンプレーティングの原理

真空中でコーティングする成膜金属を蒸発させ、アーク放電によりイオン化(電離)されたプラス電荷の成膜金属が、マイナス電荷が印加された被加工物に引き寄せられる事により、密着性の良い硬質セラミック薄膜を作る技術です。成膜金属はチタンを主とし、その他クロム、銅、アルミなどがあります。成膜金属がチタンの場合、反応性ガスのN2(窒素)やC2H2(アセチレン)を注入することにより、チタンイオンと結合しTiN(窒化チタン)、TiCN(炭化窒化チタン)などのセラミック被膜が形成され、金色、ブラウン、グレー、ブラックなどのカラーリングを行います。

スパッタリングの原理

真空中で成膜金属と反応しないアルゴンなどの不活性ガスを注入し、被加工物とターゲット(プレート状の成膜金属)の間に高電圧を印加してプラズマ(グロー放電)を発生させます。グロー放電によりイオン化されたプラス電荷のアルゴンイオンが、マイナス電荷が印加されたターゲットに高速で衝突します。この衝突で叩き出された(スパッタ)成膜金属が、マイナス電荷が印加された被加工物に引き寄せられる事により、密着性の良い硬質セラミック薄膜を作る技術です。成膜金属はチタンを主とし、その他クロム、銅、アルミなどがあります。成膜金属がチタンの場合、反応性ガスのN2(窒素)やC2H2(アセチレン)を注入することにより、チタンイオンと結合しTiN(窒化チタン)、TiCN(炭化窒化チタン)などのセラミック被膜が形成され、金色、ブラウン、グレー、ブラックなどのカラーリングを行います。

UBMスパッタリング

当社では、アンバランスドマグネトロン(Unbalanced Magnetron)スパッタリングを採用しています。 通常のマグネトロンスパッタリングでは、ターゲット裏に磁石を設置し、その磁場でターゲット前面に濃いプラズマ領域を発生させ、被加工物に衝突するスピードをアップさせています。UBMスパッタリングでは更に、内側の磁石より外側の磁石を強くして、ターゲット上での磁界の空間の強さを被加工物方向へ広げことで,マグネトロンスパッタリングと比較してイオン照射量と照射距離が増え,密着性を向上させることができます。

成膜プロセス

排気、エッチング(アークイオンプレーティング、スパッタリング共通)

  • 被加工物をチャンバー内の回転テーブルにセッティング
  • 複数の真空ポンプを駆動させてチャンバー内を真空雰囲気にする
  • 不活性ガスとしてアルゴンを注入
  • エッチング電源とチャンバー内壁との電位差で放電開始
  • アルゴンガスがイオン化しアルゴンイオン(Ar+)となる
  • アルゴンイオン(Ar+)が被加工物に高エネルギーで衝突し、表面の異物を除去

コーティング(アークイオンプレーティング)

  • 真空チャンバー内側面には、ターゲットと呼ばれる成膜金属(主にチタン材)が複数設置
  • プロセスガスとして窒素を注入
  • ターゲット前面で真空アーク放電が発生
  • チタンが瞬時に溶融蒸発、プラズマ中でイオン化しTi+となる
  • 窒素はプラズマ中で窒素イオン(N-)に変換
  • 被加工物表面で、窒素イオン(N-)とチタンイオン(Ti+)が結合し、窒化チタン(TiN)に変換
  • 被加工物は自転公転しながら、ターゲットの前を通過する度に窒化チタンを堆積
  • 金色のセラミック膜が形成

コーティング(スパッタリング)

  • 真空チャンバー内側面には、ターゲットと呼ばれる成膜金属(主にチタン材)が複数設置
  • 不活性ガスとしてアルゴンを注入
  • ターゲットにマイナスの高電圧を印加してグロー放電が発生
  • 放電によりアルゴンがプラスイオン(Ar+)になり、マイナスになっているターゲットの表面に高速で衝突
  • ターゲットからチタン粒子が弾き出され、プラズマ中でイオン化しTi+となる
  • プロセスガスとして窒素を注入
  • 窒素はプラズマ中で窒素イオン(N-)に変換
  • 被加工物表面で、窒素イオン(N-)とチタンイオン(Ti+)が結合し、窒化チタン(TiN)に変換
  • 被加工物は自転公転しながら、ターゲットの前を通過する度に窒化チタンを堆積
  • 金色のセラミック膜が形成